これもおなじみ、お題を頂いて即興で小噺を作るおあそびです。
「芝浜」「酔っ払い」「財布」のような三題噺も良いかも。 |
「困ったなあ。新年のあいさつって何て言ったらええやろ。」 「そんなもん、明けましておめでとうございます、今年もよろしく、で、ええやないか。」 「去年全然よろしくしてない人に、今年もよろしくって言いたくないしなあ。」 「それなら、去年はまああれでしたが、今年はよろしく、って言えや。」 「去年はまああれでした?あれって何や?俺も相手も考え込んでしまうやないか。」 「あれはTHATやって思うかもしれんし、お茶を濁してその場をざっときりぬけろや。」 「誰が、ああTHATね、って思うかいな。挙句の果ては、ざっときりぬける?そんな挨拶させて俺の顔をよごす気か。」 「お前の顔をよごしてどうすんねん。なら、人に会ったら何も言わんと土下座せえや。」 「顔やなくて手がよごれるやないか。もうええ。菓子折り持って皮膚科の先生とこ行ってくる。」 「菓子折り持って、先生にどんなあいさつすんねん?」 「お口よごしですが・・・」 「
ことしはどんな年になるかな? 12年にいっぺんの当たり年だろうよ、い−(猪)年だから。 だじゃれかよ!!
「ほう、みんな揃っておるな。では、ここでみんな新年の抱負を発表しあおうではないか。」 「年末から野菜や蒲鉾の値がやたら高かったから、きっとこれも高いんでしょうねえ。湯豆腐が大好きなんだけど困ったよ。」 「そうだな、今の時期は湯豆腐がおいしい、って、それは新年の豆腐だ!私が言ってるのは抱負だ!次!」 「ご隠居、ブドウの出来不出来はこの時期の天候が大事らしいっすよ。山梨の甥がそう言ってました。」 「そうそう、だからみんな新年から畑に出て、って、それは新年の甲府だ!次!」 「あっしは寝つきがわるくてねえ、それでよく寝坊して遅刻しちまうんですよ。で、よく寝られるよう考えて。」 「ほう、今年は早起きをするということか。みんな聞いたか?こういうのを新年の抱負というんだぞ。」 「え?ほうふ?あっしは、新年そうそう買った毛布の話をしたんですけど。」 「もういい!お前らの顔は見たくない!みんな私の田舎の山口の製塩場で一年みっちり働いてこい!」 「なんだご隠居、やっとわかったよ。しばらく山口の田舎に帰ってないなら初めからそう言ってくれればいいのに。」 「なんのことだ?確かに十年くらい実家には帰っておらんが。」 「あっしらに見てきて欲しいんでしょ?近年の防府。」
「珍念や、珍念!」 「は〜い。何ですか、おしょさん。」 「隣町の先生のところへ、この手紙を持って新年のあいさつに行ってきなさい。」 「え〜っ?もう2月ですよ。今更、新年のあいさつですかあ?」 「あの先生は、旧暦で暮らしておる。まだ大丈夫だ、さっさと行って来なさい!」 「もう、うちの おしょさん は頑固だからなあ。この前も、このお婆さんはまだ息をしてるってのに、いや死んでるってきかないんだもん。もうちょっとで、生きたまま焼いちゃうとこだったよ。仮想(火葬)現実を体験できて良かったですね なんて言って殴られてたよ。あっ!ここだここだ。こんにちは〜せんせ〜い!」 「ん?おう、珍念さんか。どうしたのじゃ。」 「うちの おしょさん が、新年のあいさつに行ってこいって、この手紙を・・この・・あれ?」 「はは、どこかで落としたようじゃな。相変わらずそそっかしい奴だ。でも、これもまた楽しみじゃ。」 「えへっ。すみませ〜ん。新年早々。」 「いや、新春恒例の 珍念そそう じゃ。」
熊「正月だねえ。あそこで子供が凧揚げしてらあ。よし、俺もまぜてもらおう。」 八「よしなよ、新年そうそう。みっともないマネするんじゃないよ。」 熊「俺は、子供だから、大人だからって差別しねえのが信念なんだ。」 八「なにが信念だよ。ただ、やりてえだけじゃねえか。あらら、本当に子供から凧を奪っちゃたよ。子供がベソかいてるよ。」 子「ねえ、返してよう。あっ、おとうちゃんだ!おじさんのこと、言いつけてやる。」 熊「おい、待て待て。凧がよく揚がるように、おまじないにお金を貼り付けてあげるからさあ。」 八「野郎、子供の機嫌取ろうって、凧にお札を貼ってやがるよ。」 子「あっ、おとうちゃん。今、このおじさんにね、優しく凧揚げを教えてもらってたんだよ。」 八「なるほど。こりゃあ、貼るから演技がいいや。」 春から縁起の良いお噺でした。 |
「角のタバコ屋のお爺さんが、ポルシェを買ったって自慢してるらしいぜ。」 「あのケチな爺さんがポルシェを?貯めこんでいやがったな。自慢話は聞きたくねえが、見にいこうぜ。」 「どうだ、モモエちゃんも唄っていた真っ赤なポルシェじゃ。これこれお前らの汚い手で触るんじゃない!」 「けっ、指先でキーをくるくる回してやがるぜ。かっこつけても似合わないんだよ。」 「でも車は確かにすげえよ。だけど爺さん、免許持ってないんじゃなかったっけ。」 「これは、わしの観賞用コレクションだ。お前らはタミヤの模型で楽しめばいい。ハハハっ。」 「嫌な奴だねえ。きっと若いおねえちゃんに、運転させてあげるよ、なんて言ってくどくつもりだぜ。」 「あれ?キザったらしく指先で回してたポルシェのキー、爺さんどこへやったんだ?」 「それならさっきから、鼻にかかっている。」
「これバッハの曲だろ?なんて曲だったっけ。この曲をバックに彼女の手紙読んでるのか?」 「いや、傭兵で戦場を駆け回っているお爺ちゃんからの手紙なんだ。元気でやってるって。」 「え?傭兵って、お前のお爺さん80歳だろ?大丈夫かよ。」 「やる気はあるけどやっぱり体力がないし、耳が遠くて目も悪いからたいへんだって書いてあるよ。」 「たいへんで済めばいいけださあ。ちょっとしたミスが生死に関わるからなあ。」 「この前も、ありゃ?手榴弾と思ったらキウイだったぞ、ありゃ?ベッドが違うと思ったら敵のキャンプにいる、ありゃ?なんで?ってことばかりだってさ。」 「帰ってこさせろよう。で、さっきから気になってるけど、ロック好きのお前がなんでバッハなんだ?」 「この曲は、爺戦場でありゃ だ。」
「僕のおじいちゃんは、おばあちゃんと結婚したことが自慢だっていつもいってるよ」 「わお、いいなぁ、年をとってもラブラブだなんて!」 「他の男性を不幸にしなくってよかった!!っていってるよ。」
「これはこれは三太夫殿、暮れもいよいよ押し迫ってきましたな。」 「ああ、だれかと思えば娘婿の角三郎殿か。いや、ほんに。この時期になりますと、わしは新年の書初め大会がたのしみでな、今年もこっそり練習をしておりますのじゃ。」 「おお、そういえばせがれも『おじいちゃんの書はかっこいい』!といつもいっております。こんども楽しみですな」 「まあ、わしの唯一の自慢じゃ。それに最近はまた磨きがかかってきてな」 「ほう、それはそれは、失礼ながらそのお年でまだまだ進歩されるとは、たいしたもんだ。」 「さいきんは自然に手がふるえてのう、そのゆれが微妙に良い味をだしておる。体で覚ったようじゃワイ、わはははは、」 「・・・ただもうろくしただけじゃないか!」 |
「おい、北○鮮の事件、どう思う?」 「え?個人的にはまあその〜、ニュースの解説者の言うとおりだと思うよ。」 「確かに私的にはいいが、公の場ではチャカシにくい問題だな。笑いにはできないなあ。」 「このお題、対応がむずかしいよ。あっ、熱が出てきた。」 「知恵熱か?どれどれ、おでこ触らせろ。う〜ん、やっぱりなあ。」 「何がやっぱりだよ。」 「38度より上だ。」
「おかさん、KAT-TUNってかっこいいよね〜、ジャニ−ズってみんなかっこいいよね-、少年隊からだよね、」 「なにいってるのよ、もともとはジャニ−ズってのからはじまってるのよ。それから、やっぱフォ−リ−ブスかな?」 「ア−、しってる!!笑点で座布団運んでる人がいた・・」 「・・・・天文学的勘違いしてるわよ。あれはずうとるびといって全くジャニ−ズと関係ないし。そういえばあのころからアイドルは歌だけでなくていろんなことやってたな、江木君がマグマ大使に出たり、おりもくんはアイドル水泳大会の司会したり、青山くんはドラマにだたり、、、そういえば北くんなにかやってたかな?きっとやってたな。なにかに挑戦していたと思う。北も兆戦、きたちょうせん・・・ |
「与太は元気に楽しくがんばっているかな。」 「あれ?ご隠居!うちの息子の運動会をわざわざ見にきてくれたんすか?」 「小学校は私の散歩の道に入っているのでな。おや?リレーが始まるところだな。」 「そうなんすよ。黄色いタスキのチームが息子のクラスで。あいつが4番目、一番最後に走るんですよ。」 「ほう、アンカーか。たいしたもんだ。」 「いやあ、奴はね、子供は風の子って言うのか、真冬でもセンベイ布団で平気なんすよ。俺は12月頃から足元に入れてぬくぬく。」 「それは行火(あんか)だ。確かに布団が暖かくていいが、わたしの言ってるのはアンカー、最後の走者のことだ。」 「へ〜、アンカーって言うんすか。おっ、始まった。6人中5位、坊主頑張れ!次の子は早いよ、4位になったぞ!」 「また次の女の子で3位になったな。いよいよ与太だな。タスキを取って、おう、早速一人抜いた、あと一人!」 「いけいけ!あっ?先頭の坊主が転びやがった!よし、今だ!抜かせ!抜かせ・・どうした立ち止まって・・・」 「ほう、転んだ子を助け起こしてるぞ。後から来た子らも止まって、みんなで手をつないで歩き出した。」 「くすん、今だ抜かせなんて言った俺が恥ずかしいよ。6人で一緒にゴールしやがった。すごい拍手だよ。泣かせるねえ。」 「えんぴつケンちゃんにあったような話だが、いいものを見せてもらった。与太を褒めてやろう。」 「流石、あんかーだ。心まで温かくなった。」
「教授、出雲風土記を調べてたら、綱引きに似た描写があったんですけど、古代から運動会はあったんすか?」 「運動会はさすがに無いだろう。でもお前も勉強したな。紀元前2500年に綱引きがエジプトで行われたことを示す遺跡がある。日本でも、五穀豊穣や吉凶を占う儀式として綱引きは行われたんだ。」 「へ〜、見直しました。でも、ごこくほうじょう って何ですか?鎌倉時代の北条氏の治めた国ですか?」 「それは五国北条だ。って、会話ではわからんか。五つの穀物が豊かの豊穣、ほらこの字だ。」 「な〜んだ。それなら、米麦粟キビ豆豊作 って言ってくれればいいのに。」 「そんな名前では、左門も大リーグボールは打てない。」 「え?巨人の星?懐かしのアニメ番組で見たことあるけど。僕らの世代にはそんな根性論は通じませんよ。」 「火事場の馬鹿力とか、ニュータイプ、タッチの世代だな。たっちゃん、私を甲子園に連れて行って!」 「気持ち悪っ!でも、哀戦士じゃない、愛もぐらさんも言うように、今は、かけっこでも順は無い時代ですからねえ。」 「なに、順が無い?それでは五穀豊穣どころではない。穀物が育たんぞ。」 「え?また、壁から釘 いや、藪から棒に。なんでですか?」 「じゅん(JUNE・6月)が無いと、梅雨も無い。」
「運動会のリレ−で競っているときと掛けて、ディスカウントショップととく!」 「その心は?」 「アンカ−(安価)で勝負!」
「オリンピックって、世界中の人たちが集まって競技するじゃないですか」 「いきなりなんだい?あたりまえじゃないか!」 「同じように世界中の人で運動会したら面白いと思わないか?」 「おもしろいかもな、お国柄がでるかも。あ、でも借り物競争なんかどうする?8ヶ国語くらいで書かないといけないかもしれないぞ。あと、パン食い競争のアンパンって、あんこたべられるかな?」 「おいおい、借り物競争は絵をかけばいいじゃないか、パン食い競争のパンはべつにアンパンじゃなくてもいいだろ。」 「いや、だめだめ。あの形あの大きさがベストなんだよ。」 「じゃ形だけおんなじにして、あんこぬけばいいよ。」 「そんなもんかなぁ、でもパンを食べられない国の人がいたら・・」 「そんなに真剣になるなよ。これはどうせアンだけの話さ。」
「ご隠居、聞いておくんなせい、いやあ時代って変るもんですね、、」 「なんだい、いきなり入ってきて。いったいなにがあったんだい?」 「あ-、その前にのどがからからなんで、冷たい麦茶かなんか、泡がいっぱいでてると嬉しいですけど、」 「なんだい、おい、ばあさん、ビ−ル持っておいで。全く調子のいいやつなんだから。で、なにがあった?」 「お-とと、ンぐンぐぷは〜、やっと生き返った。いえね、今日ガキの運動会を見に行ってきたんですよ。そしたら、おどろくじゃないですか、かけっこに順位はつけない、赤組白組はない、だから赤かて白かての応援もなければ優勝旗授与もないんですよ。」 「なんかいまどきは順位をつけたり勝ち負けをつけるのはいけないなんていって、そういうことをやるところもあると聞いていたが、そうか。おまえさんとこの学校がそうだったか。」 「んぐんぐ・・ぷはぁ〜、おまけにね、騎馬戦や棒倒しなんて競技がないだけじゃなくて、何かへんなダンスみたいなものばっかあって、盆踊りじゃないってんですよ。んぐんぐ・・こちとらぁヒック頭のできはからっきしだったんでうぃっ、この運動会ってやつが年に一度だけ英雄になれるチャンスだってのに、、ップ!」 「お前さん怒りにまかせてよく飲むね。たしかに運動会も昔とは変ったな。騎馬戦や棒倒しか、いや、なつかしいな、わしもガキ大将の部類だったんでよくあばれたもんだ。」 「へぇ〜ご隠居もですか?」 「ああ、どうだ、お前さん相当飲んでるが、お互い昔ばなしでもしながらじっくり呑もうじゃないか。さいわいもらいもんだがいいワインがあるんだ。」 「ワインですか、ご隠居、ロゼはあるでしょうね。」 「なんだ、いきなりロゼかい?この白ワインが美味いんだが、」 「今は赤とか白とかいうことはいわないんです。」
「この前、近所の小学校の運動会を見にいったんだよ。驚いたねえ。」 「どうした、自分の子供の時を思い出さなかったか?」 「いや、すっかり変わっててさあ。パン食い競争じゃなくて、まず、一年生の ご飯食い競争。」 「最近の子は箸を上手に持てないからって、ご飯食い競争はねえよ。」 「そして2年生の梅干、これは箸の技術よりいじめだね。3年生が納豆食い競争。嫌いな子は泣いてたよ。」 「お、俺も納豆は食えねえ。ぞっとするねえ。あれって腐ってんだろう。」 「発酵と腐ることとは違うけど。で、6年生が豆食い競争。ありゃあ大人でも苦労するよ。」 「見てるほうは面白いかもしれねえけど、ちょとかわいそうだな。で、先生は何をしたんだ?」 「最後に、うまく食べれなかった子を、お前を食うぞ〜って先生が山姥のかっこして追っかけて背中にがぶり!」 「箸の持ち方は教室で教えればいいじゃねえか。そして最後に子供を食べる?それじゃあ父兄も怒ったろう。」 「もうカンカン。来年から、運動会の進行は父兄も参加することになったよ。なあ、この話どう思う?」 「ふざけ過ぎてるぜ。こんな、人を食った話はねえ。」
「おいおい、どうしたんだ?体中傷だらけじゃないか!」 「昨日、町内の運動会があっただろ。まず100走に出たんだ。」 「ああ、お前は足が速いのだけがとりえだからなあ。1等賞とったのか?」 「ちゃんと、靴の紐を結んでおいたんだけど、何故かゴール直前でほどけて、顔面打った。鼻血だしてビリ。」 「顔の擦り傷がそれなんだな。それからどうしたんだ?」 「次に、綱引きで一番後ろで引っ張ってたら、突然切れるはずのない綱が切れてみんなの下敷きになった。あと、玉入れの籠が俺の頭に落ちてきたし、名誉挽回のリレーでバトンがお尻に刺さった。」 「最後のは嘘くせえな。ま、ともかく災難続きだったわけだ。大丈夫か?」 「傷はたいしたことないけど、筋肉痛がひどくってさあ。運動不足かなあ。」 「いや、運の不足だ。」 「
「なんだよ、今年の町内運動会はパン食い競争があめ食い競争になってるじゃないか!」 「なんでも町内のパン屋が廃業したせいらしいんだ。」 「おれ、弁当作ってないんだ・・・」 |
「おい、なんだ?このペットボトルの山、こんなに名水を集めてどうしようってんだい?」 「日焼けの痕が痛くてさあ。天然水で冷やすと治りが早いって聞いたからいっぱい買ったんだ。」 「よし、どの水が日焼けにいいか、俺が飲んで確かめてやろう。これは・・・うまい!90点!次は、ゴクッ、ん〜85点!」 「おいおい、お前、本当に水の味がわかるのかよ。だいたい、味と日焼けと関係ねえと思うけど。」 「俺は、美味しんぼを全巻読んだんだ。任せろって〜の。この水は、清流の香り、ミネラルバランスが最高だ。96点!」 「それ、水道水だけど・・・もう、塩素の味もわからなくて日焼けに良い水がわかるわけないよ。」 「うるさい奴だねえ。俺はプールの水が大好きなんだよ!この横にあるのは、70点。次は80点。次は・・・」 「まだ続ける気かよ。おや?な、なんだ!?お前が飲む端から順番に、水が凍ってゆくぞ!氷になってるよ!」 「えっ?そうか、俺が水に点を付けたからだ。」
「よ、ひさしぶり!あれ、おまえ夏休みはずっと海にいるっていってたけどそのわりには全然日焼けしてないじゃないか、なんだよお前見栄はってあんなこといったのか?」 「いや、海でずっと焼いていたよ。とうもろこしを・・・海の家の中で。あ、やきそばも。」
「・・・本当に出て行くのか?」 「もう何度も話し合ったじゃない。だからこうして荷物をまとめてるのよ。」 「そうだったな・・・。おっ、この写真懐かしいな。」 「どれ?」 「うん、付き合い始めた頃に二人で沖縄に行ったときの写真。この頃は二人ともいい顔してるな。」 「そうね。」 「『日焼けしてないところは二人だけの秘密だよ。』とか言っちゃってさ、何をするにもはしゃいでたな。」 「そうね。」 「・・・やっぱりやり直せないかな?」 「だから何度も話し合ったじゃない、最近じゃネガティブな話題ばかりだし・・・。思い出の写真も日に焼けて色褪せてしまってるわ、私達の関係も一緒に色褪せてしまったのよ。」 「いや、それなら大丈夫だ。」 「何でよ?理由もなく、いい加減な事を言わないで。」 「ちゃんと理由はある。」 「どう言う事?」 「ネガがあるならやきなおせるさ。」 (夏の終わりっぽくしてみました、笑いどころなくてすいません。)
7月下旬 「おっ、あの野郎、真っ黒に日焼けしてやがるぜ。思いっきり背中をたたいてやろう。へへ。おい!元気か!」 「ひ〜〜!!・・・日焼けのところをたたくなよ〜!痛て、て、う〜・・・」 「ハハハ、のた打ち回ってるぜ。くく、こりゃ、面白いなあ。」 8月中旬 「おや?あいつ、お盆に海にでも行ったのかな。真っ黒だぞ。背中をひっぱたたいてやろ。おい!久し振り!」 「ひ〜!・・・昨日会ったじゃねえかよ。わ、悪いイタズラやめてくれよう。お〜いて・・・」 「ハハ、こちとら、お盆も仕事だったんだい。あ〜面白かった。」 8月末 「なんだ、今頃日焼けしてる奴がいるぞ。よし、背中をたたいてやろっと。おい!どこ行ってきたんだ、よ、っと!」 「ひっ!・・・なんだお前か。シャツを脱いで草むしりしてたんだよ。もう!いてえなあ。」 「ハ・・夏も終わりだな。ひ が短くなった。」
「教授、昨日はありがとうございました。まさか、キャバクラに連れて行ってもらえるなんて、意外でした。」 「まあ、考古学というのは過去から現在への連続した鎖、今の女性を観察することも大事なことだ。」 「はい、立派な建前です。昨夜の乱れようは、ただのスケベおやじです。」 「そうそう、飛鳥遺跡の壷に入っていた海苔のような紙みたいな物の分析結果がでた。あれは、日焼け後の皮だった。」 「あのベロ〜ンってむける皮?なんでとって置いたんすかねえ。昨日の新人のウメコちゃんを思い出しますね。」 「ああ、真っ黒に日焼けした子だな。今は素人っぽさだけが売りだが、あと1ヶ月もすれば一人前になるだろう。」 「わかった!ひと皮むけるって言うんでしょ?おっと、怖い顔してますねえ。また何か考えているんですか?」 「そうか、飛鳥時代の男は、真っ黒に日焼けして、その皮をむくことが成人の儀式だったのだ。」 「いやな予感がしますが・・・一応聞きます。それはどうしてですか?」 「今もむかしも、男は皮がむけて大人になる。」 「予感的中だよ。新しい教授をみつけよ・・・ハ〜ため息。」
「どうしたんだ、その顔は?目の上が腫れて全体にどす黒くって、鼻の頭なんか皮がむけてきてるぞ、悪い病気じゃないだろな・・」 「いや、こないだ夏休み取ったときに不倫してる彼女と2人で海に行ったんだ。女房には出張ということにしておいてだ。そしたら日焼けして水着の線がくっきりついてたもんだから、うちで風呂に入るときにばれちまって、、、このありさまさ。」 「おまえはほんとに馬鹿だな。不倫しているところから馬鹿だけど、よりによって証拠がはっきり残るようなところに行くなんて、ましてやUVケアなんて全くしていないんだろ、」 「UVケアって?」 「ウルトラヴイオレット、紫外線のこと。日焼け止めなんてしなかったんだろ?」 「なんだ、そうか。おれはまた ウチのヴァイオレンスかとおもった。どっちにしろなんにもしてない。」 「・・・こういうやつに限ってなぜもてる・・」
「ご隠居、今年は町内の日焼けコンテスト中止って聞いたんですけど、ほんとですか?」 「ああ、誰かとおもったらくまさん、ああ、本当だ。」 「って、殺生じゃないですか、今年こそはってもう春から準備していたのに、、」 「ああ、毎年お前さんは準優勝だからな、」 「そうなんでさ、去年は日焼けサロン焼けの気障なやつに負けて、おととしはハワイ帰りのガキにまけて、その前はガン黒の女子高生・・・いったいどうして今年はやんないんですか?」 「いやいや、これは保健所のほうからの指導と聞いておる。今はオゾン層の破壊とかで紫外線が大変にきつくなってきている、現代は日光浴はむしろ害になるといわれるくらいじゃ。その証拠に母子手帳から『ときどき赤ちゃんを日光浴させましょう』という言葉がなくなったくらいじゃ。そんなときに日焼けコンテストで紫外線あびるのを煽るのはどうかってことらしい。」 「へえ〜あっしはむつかしいことはよくわかりませんが、ようは賞品だすのが惜しくなったと・・」 「そんなことは一言もいっとらん。紫外線が強くなりすぎたんじゃよ。」 「でも、昭和初期からずっと続いているこの町の伝統が、おしまいなんですかね、、」 「ま、途中で中断したこともあったがな。」 「え、いつですか?」 「終戦の年だ。後になってみたら結局起こらなかったが、本土決戦をみんなが覚悟して激しい市街戦を予想したからな。」
「おい見ろよ、留公のやつ、また違う女を連れて歩いてるぜ。」 「ほんとだよ。日替わりでいろんな女と出歩くから、真っ黒に日焼けしてるぞ。」 「昨日あいつんちの前通った時、あいつのかみさんに、よく平気でいられますねって、それとなく聞いたみたんだ。」 「あの色が白いのは七難隠すってえ色白のかみさんだろ?なんて言ってた?はらわたが煮えくり返るって?」 「確かに色が白いのだけがとりえみたいな女だけど、いや、それが立派なんだ。あの人を信じてます、だってさ。」 「いいかみさんじゃねえか。留も馬鹿な奴だよ。でもずっと家の中に閉じこもっていたら、嫉妬の芽が出てこないかい?」 「そう、だから俺も、たまには表に出て遊ばないと悪いこと考えちゃいますよ、って言ったんだ。」 「そうだ。きっと心の中では葛藤してるはずだ。たまには太陽の光を浴びないとな。で、かみさんは何て答えたんだい?」 「焼く(妬く)のは嫌いです。」
「久しぶり! ずいぶん真っ黒に日焼けしたな。海にでも行ったのか?」 「隣町に日焼けサロンが出来てさ、そこで焼いたんだ。」 「へ〜。日焼けしにわざわざ隣町まで行くのか。そういえば、おまえん家のそばにも日焼けサロンあるじゃねぇか。」 「うん、だけどさ、効果はあっちのほうがいいんだよ。」 「へ〜。そんなにも違うものか?」 「そうともさ、日焼けは市内のサロンより、市外(紫外)にかぎるのさ。」
「おい、部屋の中でくすぶっていないで、日焼けでもしに行こうぜ。」 「日焼けをしに行く?また変な日本語だなあ。最近の言葉の乱れは、」 「おいおい、そういうこと言ってないで、部屋を飛び出して、体を焼きに行こうぜ。」 「海にでも行くつもりか?でも、この頃は曇りや雨の日が多くて、きれいに焼けないだろう?」 「そう、だから、思い切ってパーッとハワイにでも行こうと思ってさ。」 「今、1ドルが115円ぐらいだろ。ちょっと高い。100円を切ったら考えよう。」 「また細かいこと言いやがって。むかしみたく、90円台になるまでハワイには行かないつもりか?」 「当たり前だ。日焼けは、円天下の時がいい。」
「また山田の奴、酔いつぶれて寝ちまったよ。」 「酒が好きな割には何時もすぐつぶれちゃうね。」 「ところで、お前は年中黒いけど日焼けすると、また一段と黒さが増すね。」 「あぁ、メラニンが多いんだろうな。」 「そうなんだろうね。」 「新婚旅行でハワイに行ったときなんか凄かったよ。」 「どうしたの?」 「他の道に迷った日本人観光客に『地元の方ですか?』って道聞かれちゃったよ。」 「あっははは。本当かよ、そりゃ凄いね。」 「ふぁー、たのしそうになんのはなししてるの?」 「おっ、山田起きたか。いやなに日焼けの話だよ。」 「あ〜ひやざけ?もうのめない。」 |