これもおなじみ、お題を頂いて即興で小噺を作るおあそびです。
「芝浜」「酔っ払い」「財布」のような三題噺も良いかも。 |
ご隠居さん 「おい 熊さんや 昨日は随分と飲んだ様だネ」 熊さん 「ああ ご隠居さん ゆんべは八丁堀で猫んじゃった」
「らっしゃい。あ これは八丁堀の旦那」 「おう 親爺 酒をくれ。相変らず繁盛してて結構なこった」 「へっ有難うございます。これもひとえに旦那の御蔭で。少ないんですがどうぞお袖の下へ。」 「おう いつもすまねーな。」 「旦那 今日は折り入ってお願いがあるんですが。」 「ん。ツケなら払えんぞ。」 「いいえ旦那。お願いって言うのは他でもない。旦那。あっしを旦那の犬にしてはくれませんか。」 「えっ おまえは「飲処 狸」の親爺じゃねーか。狸がなんで犬になりてーんだ。」 「へい 実は昨晩家族で「鬼平犯科帳」を見てたんですがね」 「ふん あの火盗の平蔵か。それがどうした」 「へい 娘が言うんです。御父ちゃんもたまにはあんなかっこいいとこ見せてよって。」 「で、あっしは言いました。馬鹿言え。御父ちゃんは武士じゃねー。無理だって。」 「ふんふん そりゃ当然だな。」 「そしたら家の奴が横から「せめてかっこいい忍びぐらいになれたらねっ」てぬかすんでさあ」 「それで犬になりたいって言うのか」 「へい ご明察」 「ご明察じゃ無い。俺は犬はいらん。犬など無用だ。」 「へっ だって旦那だって忍びの一人や二人は飼ってらっしゃるんでしょ。」 「あたりまえだ。だがな親爺 あれらは犬では無い 犬など居らん。」 「へっ 犬は居ぬ・・・。」 「シャレテル場合じゃないだろう。俺んとこのは ありゃ猫だ。」 「猫?あのニャーニャー言う」 「そう 猫だ!」 「はあはあーん 名古屋出身で・・・」 「相変らずくだらんなお前のシャレは」 「あ 判った苗字が金子さんとか・・・」 「ひつこいぞ親爺」 「えーじゃあ教えてくださいよ。なんで犬ではダメで猫じゃなきゃいけないんで?」 「それはな 鼠を捕るならやっぱり猫に限る」
「もし,八丁堀の旦那どこへ行きなさるんで」 「おお。平次か。うちのタマが居なくなってな。さがしているのだ。」 「へえ。タマと言いますと、旦那の娘さまで。」 「バカ言え。内で飼っている猫じゃねえか。」 「なあんだ。それじゃあいいじゃありませんか.たかが猫くらい。」 「それがそうもいかんのだ。なにせ、かかあと婆あが大事にしているのだからな。」 「へえ。あの、おそろしい。」 「入り婿のつれえところよ。しかし、下手人探しの様にはいかねえなあ。」 「そりゃあ大変でございますね。」 「もう、さんざん探したから、帰ろうと思うのだが、家で何言われるか。」 「じゃあ,旦那一杯飲んでおかえりなさいまし。言い訳が立ちますぜ。」 「コウ。猫一匹探せねえで、酒を飲んで帰って来て,どう言い訳立つのか。」 「へえ。猫は見つからなかったが、旦那は虎になって帰ってきます。」 |
熊さん 「今届いたけど 待ったけ?」
「わあー 美味しそうな松茸。ママ 私松茸大好き!!」 「ママも好きよ松茸! 特に若いのが好き!」 「ねえ焼いて食べるの?煮て食べるの? それとも生だったりして」 「まあこの娘ったらなんてことを。まさか生じゃ腹が膨れる」
「はい、お待ち遠様。今日は松茸ご飯よ」 「ママ。これ、松茸ご飯なの?」 「そうよ」 「これ、学校の給食で出たけど、献立に椎茸ご飯って書いてあったよ」
「まあ、こっちゃ入り」 「はい、何でございます」 「何でございますやないねん。あのなちょっとな松茸を六甲山まで行って取ってきてもらいたいねん」 「ほううう、松茸ですか」 「そうや、今は松茸の季節やからな」 「はい、でも松茸をどうするんですか」 「どうするってお前、松茸御飯をすんねやないか」 「うわー美味しそう」 「そやろ、ははははは、こいつ想像しただけで涎たれとるで、本間にえ」
「お帰りなさいあなた。今日実家から松茸が送られてきたの」 「へえ、豪勢だな」 「さあ、お食事にしましょう」 「おい、お食事ったってお前、松茸生のままじゃないか?」 「え、嘘でしょう? だってさっきお友達が来て『よくにてる』って言ってたわよ」 |
未だ時代が古い頃 与太郎 「この間チョコレイトとか言うのを食べたよ」 御武家様 「ふん ちょこざいな奴め」
サツマイモ饅頭 「おい、栗饅頭を持ってきたぞ。一緒に食おう。」 「お、いいねえ。あれ?しかし、上に何も乗ってないぞ?」 「中に餡状になって入ってるんだよ。」 「え?あ、馬鹿野郎。こりゃ、栗じゃねえ。カボチャと間違えるな!」
明治時代に入り、西洋の文化がぞろぞろと入ってきました。もちろん、日本人には見たこともない食べ物が入ってきました。 「こんにちは石鹸屋さん。」 「おう、山四郎さん。御求めは?」 「へえ、黄色い石鹸なんですけど。この間見世物小屋で見たんです。」 「黄色い石鹸?西洋のものかい?」 「そうらしいです。」 「う〜ん。あ、そうだ。『れもん石鹸』と、言うものがあったなあ。これですか?」 「さあ、匂いがきつかったんですよ。(嗅ぐ)いや、匂いはあるが違う。」 「そうですか。ああ、そういえば西洋人が食べていたなあ。この石鹸食べられます?」 「何言ってるんだ。食べられないよ。」 「だよなあ、ああ、暖めたら溶けて柔かくなっていました。」 「ううん。それはいったい…。お、お客さんだ。いえらっしゃいませ。」 「ん。」 「しかし、なんだい。この、服は?変わっているね、その笠も。」 「笠?これは『ぼうし』と、言うんだ。」 「で、御求めは?」 「うん。丸石鹸を。」 「はいはい、ありがとうございます。ところで聞きたいんですけど、黄色くて、匂いのがあって食べられて、暖めると溶ける石鹸はありますか?」 「え?そんなのないよ。いや、匂いはあまりしないが、石鹸じゃないのならあるぞ。」 「何ですかそれは?」 「チーズというものだ。今、丁度持ってるぞ。」 と、出したのはバター。
さらばアンドン アンドンとは四角く障子紙で周りを囲って中には油の入った皿があり、それの皿の油に芯を立てて火をつけ、明かりにするというものです。しかし、アンドンの明かりは小さいので明治時代初期になくなりました。 「これからは、アンドンじゃなくてランプだね。」 「うん。ランプのほうが明るいし持ち運びが出来るからね。」 「ところで、なんで、『アンドン』って言うのかなあ。」 「教えてやろう!エヘン!」 「威張ったからには教えてもらおう。」 「わかった。まず、『アン』からだけど、それはアンという人が昔いたんだ。」 「それで?」 「その人が『ドン』という人と仲間でな。上の障子紙と骨の部分はアンが作った。下の土台はドンが作った。アンとドンだから、『アンドン』だ。」 「なるほど。しかし、少し寂しいねえ。」 「いや、丼物屋の丼太郎さんから聞いたところ、別の所で活躍するそうだ。」 「どこで?」 「丼物屋。」 「どうして?」 「アンドン(丼)だから。」
スッポンパワー 結婚して、男の人が女の人の尻にしかれて『結婚してよかったのだろうか…。』と、思う人も少なくないようで… 「おおい、竹三郎。相談に乗ってくれ。」 「どうした?」 「はあ、俺は妻に尻にしかれている…。結婚してよかったのかなあ。」 「それ、三回くらい聞いたよ。」 「そうだったか。でも、それくらい困ってるんだ。自分勝手でさ。」 「じゃあ、注意すればいいじゃないか。」 「馬鹿いうな。そんな事言ったら、殺されないまでも骨を折られる。」 「本当かなあ。あ、そうだ。スッポンがいいぞ。」 「そんなにいいのかい。」 「うん。かの、秀吉公も家康公も、野球のイチローも松井も、大相撲で69連勝した双葉山もみんな、スッポンのおかげで、あそこまで良かったんだ。」 「へえ、すごいねえ。」 「明日にでも来いよ。」 「うん。」 と、次の日、スッポンをたらふく食べて上機嫌で帰りました。 数日後、 「おおい、どうだい。最近は。」 「尻にしかれっぱなし…。」 「どうして?」 「あの後、帰ってきて歯を磨いてねたんだけど、妻が間違えて俺の歯ブラシを使っちゃったんだ。歯ブラシには少しだけどスッポンパワーが付いている。」 「でも、歯ブラシに付いただけじゃあ、強くはならないけどなあ。」 「うん。妻は過激だから少しで効くんだ。」
殿様が、たまには庶民の食べ物を食べようと、下町に来ました。 「うむ、お、蕎麦屋ではないか。やはり、庶民と違うのか?食してみよう。…許せ。」 「いらしゃ…うわ!いらっしゃいませ!」 「蕎麦をもらおうか。」 「は、はい。…どうぞ。」 「うむ。おや?天ぷらも海苔もなしか。うむ、これは庶民が食す蕎麦か…うむ。うまい。」 「ありがとうございます。」 「銭だ。」 「ひっ。い、一両!いいんですか!?」 「うむ、釣りはいらん。」 「ありがとうございます…。」 「次はどこに行こうか…おっ今度はこの店に入ろう。…許せよ。」 「うわっ、すみません!どうか打ち首だけは…。」 「いや、何か食わせてくれんか。」 「うへえ、それで許してくれますか。ありがとうございます!…あ、しまったぁ。ろくなものがありません。」 「いや、私は庶民の食す物が食したい。」 「ならば、きゅうりのぬかずけと、アジの干物がありますが。」 「うむ。」 「はい…。これです。お口にに会うかどうか…。お醤油です。」 「うむ。(食べる)う…う…。」 「お口に会いませんでしたか?」 「うまい!…干物というのだな。」 と、ご機嫌で帰った殿様、 「殿、お帰りなさいませ。」 「うむ、早速だが、今日から三食干物を食すぞ。」 「うへ、干物は干物でも何の干物で?」 「うむ、ああ、忘れてしまった。でも食したいなあ。そうだ。今日から魚という魚の干物を集めて食すぞ。」 と、その日から毎日、魚河岸から干物を買っては食べさせ、違うというので、今度は自分で干物を作って食べさせる。サンマ・クサヤ・イボダイ・めだか・金魚・マスなどを、すべて干物にして食べさせたが、違うという。なので、その干物を食べさせた男から聞こうと思ったが、その家には住んでいなかった、 「ううむ。その干物は何だろう。この城一物知り、知恵助殿から聞こう。すみません。」 「何でしょう。」 「殿の干物騒動は聞いておると思いますが…、その干物は何なのでしょう?」 「ううん。干物といえば…サンマは?」 「違いました。」 「サバは?」 「いいえ。」 「ほかには…ああ、アジはどうだ?」 「ああ、それです!下魚なので…。ありがとうございます!」 「と、アジの干物を食べさせたところ。『まさにそれだ!』と、上機嫌。毎日味の干物を食べました。 ある日、 「あのう、今日は極上の鯛が取れましたのでお届けに参りました。」 「まあ、もらっておこう。…殿は干物だが、ほかの人なら食べるだろう。おおい!鯛の刺身にしな!」 と、言ったのですが、何かの手違いで鯛の干物を作ってアジの刺身を作って、鯛の干物は殿様のほうへ、アジの刺身はほかの人のほうに送ってしまいました。鯛は極上すぎて、干物にするとあまり美味しくありません。 「ほう、今日は違う魚の干物だな。う…まずい。これは何の魚だ?」 「鯛のようです。」 「ふん。鯛は下魚だな。」
チョコ 「チョコでも食べようか。はい。」 「ありがとう。(銀紙をはがしてゴミ箱に入れる。)」 「いいのかい?」 「何が?」 「味がなくなったら何に包むんだ?」
「ご隠居さん。ここのお茶はうまいですね。グビグビ。おおい、お茶もう一杯。」 「そろそろ控えなよ。今から行く歌舞伎場は途中に厠にいけないから。」 「分かってます。それにしてもうまい。グビグビ。あ、団子はもういりません。ご隠居さんにあげます。」 「そうかい。」 「それじゃ、もう一杯飲んだら行きましょうか。」 「まだ飲むのかい。これで、5杯目じゃないか。」 と、歌舞伎場へ行き、始まったところで、 「う、便所へ行きたくなった。」 「まったく、だから行ったじゃないか。どうするんだ。」 「いらないから、ご隠居さんにあげます。」
「こんにちは。」 「よう、大家さん。」 「おめでとう。」 「おせち料理食べにきました。」 「大家さんお年玉。」 「なんだい、みんな礼儀を知らないね。こういうときは新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。』くらい、言うもんだろ。」 「そうか、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いされます。」 何が『されます。』だよ。お願いされるのはこっちさ。…あれ、そういえば竹三郎は?」 「へえ、なんだか着替えてから、来るからって。」 「ほお、あいつは、だらしのなくて、しょうもないやだ、礼儀を踏まえているんだな。」 「すみません。遅れてしまって。」 「竹三郎か。なんだいそのは。しかも数珠なんて持って。」 「あ、大家さん。波阿弥陀仏、波阿弥陀仏。」 「おいおい、まだ死んでないよ。おめでたい席で、葬式用服を着て、波阿弥陀仏だの、言ってどうしたんだ。」 「へえ、正月は、昔からめでたいめでたいと、言っていますが。新しい年を迎えたって事は、その分、死ぬ日に近づいたって事じゃないですか。だから、葬式用の服を着て来て、波阿弥陀仏だとか言ってるんだ。わかったかこの凸凹大家。」 「何が凸凹大家だ。まあ、新年早々喧嘩はよくないや。あがって、おせちでも食べようか。」 「いよ、待ってました。」 「では、遠慮なしに、御仏前へ。」 「何が『御仏前へ。』だ。あれ、柿太郎は重箱を持ってきたがおせちを持ってきてくれたのか。」 「違うよ。おせちを持ち帰るんだよ。」「ずうずうしい人だ。まあいいや、たっぷり作っておいたし。…おおい、お前。おせちを持ってきな。」 「はいはい。」 「持ってきたか。じゃあ、食べていいぞ。」 「大家さん。おせちは縁起がいいんですよね。」 「ああそうだ。数の子は、子供がたくさん生まれて財産が増える。黒豆はくろうが実る。コブ巻きの“コブ”は“よろコブ”につながるからだ。まめで達者でいるようにゴマメ。そして“めでたい”の鯛だ。おせちというのはいいものだ。」 「それはどうかな?」 「なんだい、竹三郎。」 「数の子だって、食べられたら魚になれないよ。だから、増えるどころか減るんだ。黒豆も黒くていやだねえ。相撲の黒星みたいだ。コブ巻きだって“よろコブ”とは限らない。“目の上のたんコブ” かもしれない。ゴマメだって『ゴマメの歯ぎしり』って言うだろ。何もできず悔しがるって意味だ。鯛もねえ、生きてれば“めで鯛” でけど、死んでちゃ“死に鯛”だ。」 「よくもそう、ここまで言えるな。じゃあ松竹梅はどうだ。」 「そりゃあ、めでたくもなんともないよ。まず松だが、ヤニがべたべたして汚いよ。次に竹だが、竹ってのはいくつかの節に分かれてるよね。節と節の間を切れば穴が開いているように見えるが、実は穴が行き止まりだ。つまり、竹は見掛け倒してことさ。もしくは進めない。最後に、梅だが、梅の実はスッパイ、梅干なんかも塩分が多いから、食べ過ぎると、高血圧で死んじまう。つまり梅は悪いものさ。そもそも、“松竹梅”なんて、順番をつけると、松や竹はいいかもしれんが、梅が『どうして、俺は一番下なんだ。』って怒って戦を始めるよ。つまり“松竹梅”は争いを起こすって意味さ。」 「鏡餅は。」 「鏡餅を放っておくと、ヒビが入るだろ。あれは、円満な家族にヒビが入るって事だ。」 「もういいかげんになさい。もっとも、おまえさんの悪たれも罪の無い悪たれだから良しとしておきましょう。では、子どもにとっては大変うれしいお年玉はどうなんだい。」 「はい、お年玉は、子供には、うれしいだろうが大人にとっちゃ迷惑だから、無い方がいいもんさ。」 「ほい、しめた!」 「あ、しまった!」 これは、tommaruさんとの共同制作です。
「丼〜丼〜。カツ丼・天丼・中華丼いろいろあるよ〜。すべて10文だ〜!」 「やあ、丼物の屋台だ。」 「どういう屋台なの?」 「うん。注文するとあの箱から注文したくれたものを出してくれるんだ。」 「へえ、面白い。」 「今日の昼食はそれでいいか。」 「うん。」 「おおい!丼物屋さん!」 「へえ、毎度。何にしましょう。(お品書きを見せる。)今日のお勧めは、天丼ですが。」 「ううん。天丼は嫌いでねえ。あれ、海鮮丼があるのかい。生物だろ?平気なの?」 「へえ、平気です。中が冷たくなってます。」 「じゃあ、海鮮丼で。」 「へえ、組は?」 「組?」 「赤組か白組だよ。」 「???」 「分かんないかなあ。じゃあ、適当に渡すよ。はい。」 「10文です。」 「では。」 「赤組?白組?(ふたを開ける。)へえ、マグロの刺身が旗の役目をしているよ。旗の棒は海苔だ。うまいもんだねえ。白組はどうだ。」 「うん。イカだ。」 「なるほどねえ。海鮮と開戦をかけたうまいシャレ!ううん。料理もうまい!」
「コーラでも飲むか。プシュッ!」 「馬鹿野郎!」 「どうした。」 「今ので世界中の二酸化炭素が少し増えた!」 |
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