小噺その 145
朝顔
朝早く起きて裏庭へ出ると、垣根の隙間から、隣の娘が見えた。
娘は、根巻きの襟と裾がちょいと乱れた格好で、ぼんやりと何かを見ている様子。
「へえ、お花坊も子供だ子供だと思っていたが、随分色っぽくなりやがったな」と思って見ていると、朝顔の花を一輪ちぎって掌に乗せる。
小首を傾げて花を見る娘を、
「益々、色っぽいね」と、いとおしそうに見ていると、今度は朝顔の葉を一枚ちぎった。
「おやおや、今度はどうするんだろう」と思っていると、葉っぱで“チ〜ン”と鼻をかんだ。