小噺その 102
洞察
「今度あっしの家にも遊びに来ておくんなさい。 なあにね、汚いところですけど、門跡様の裏で豆腐屋の横町を曲がって突き当たりの右側で、腰障子に丸に熊の字が書いてありますんで、その戸を足で開けて」
「おいおい、熊さんじゃ有るまいし、足でなど開けやしないよ」
「えっ、手ぶらで来るンすか?」