数の分解と合成(数の性質の学習) 数の分解と合成は、演算につながる重要な数の性質である。分解と合成を簡単に扱って、1学期の目標である10までの加減に及んでも、つまずく子はそれほどいない。しかし、2学期に入って、繰り上がりのある加法や繰り下がりのある減法の単元に入ったとたん、繰り上がりや繰り下がりがスムーズにできないという子どもが目立ってくる。つまずいている子を観察すると、指を使った数え方を行っている場合が多い。そのような子は、分解と合成の理解が不十分であったとしても、指を使うことで10までの加減は何とかできたが、10以上になったとたんに混乱が始まったのである。そこで、分解と合成に十分な時間をかけて指導、定着させ、10までの加法と減法では指を使わないで計算できるようにしておくことが大切である。この指導には時問がかかるが、後の20までの加・減法の指導で時問短縮は図れる。 一般的には4の分解で、手元に置いた4個のおはじきを3個と1個のおはじきに分けたり、3個と1個に色分けされている絵を見たりして、「4は3と1に分かれます」と学ぶことが多い。しかし、目前のおはじきを見て数えるだけで正解できるため、この指導方法での分解の確実な理解は難しい。 分解の指導のポイントは、「隠れた数を考えさせる」ことである。例えば、4の分解なら3か1が隠れている状態で、その隠れた数を考えさせ、答えさせないといけない。具体的な教具として図5-9のような道具を子どもらに作らせたい。この道具は、山梨県南アルプス市マコト愛児園で実践されている物である。まず、4個のおはじきが入っていることを確認してから、箱を振る。次に、片方に入っているおはじきの数だけを見て、隠れているおはじきの数を言い当てるのである。最後にふたを開けて隠れた数を確認する。なお、隠れた数を言い当てられない場合には、隠れているおはじきを見せて数えさせてから確認することはしない。この一方が隠れる指導方法で答えられる数まで戻って指導する。この場合は3の分解・合成に戻り、再度学習させたうえで、4の分解を再学習する。分解・合成を確実に行える数を頼りにして、次の数の分解と合成を考えられるようにすることが重要である。指導の順番は、3の分解と合成、4の分解、4までの合成、5の分解、5までの合成、……、10の分解、10までの合成と行われる。分解を学習したら、その数の合成を行うのではなく、その数までの合成を行うのがポイントである。また、7の分解が特に難しいので、全員が確実にできているかを必ず確認したい。 (守屋誠司編著 算数科指導法 玉川大学出版 より引用) |
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数の分解合成教具(2013年度)
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